2022/08/05 / 外構
安全なブロック塀・危険なブロック塀とは?
地震に水害に風災など、近年ますます威力を増してきた自然災害。気候変動の影響で頻発化し、毎年私たちの生活を脅かすような災害が起きていますね。いつ、どこで災害に巻き込まれてもおかしくはありません。
住宅を検討する際に、災害に強い建物構造なのか意識するものの、外となると自分のものという意識が薄れがちです。
防災は避難用に持ち出す品を揃えるだけでなく、被害を最小限で留められるような強い住まい作りを考えることも大切です。
今回は、敷地を囲むブロック塀の減災について考えていきます。
大阪北部地震での小学校ブロック塀倒壊をきっかけに、ブロック塀が凶器となりうるという認識が広まりました。しかし、コンクリートブロックは、基準を守って施工されていればとても強く、安全性の高い物です。
きちんと施工されたブロック塀は、倒れてきた家屋を支えたり、水害では敷地内に水が侵入するのを防いでくれたりします。
まずはご自宅のブロック塀が安全か、外観からチェックできる5つのポイントを確認してみましょう。
1.塀は高すぎないか
塀の高さは2.2m以下になっているか。
2.厚みは十分か
塀の厚さは10cm以上あるか(高さ2m〜2.2mの場合は15cm以上)
3.控え壁があるか
塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか
4.基礎があるか
コンクリートの基礎があるか
5.塀は健全か
傾き、ひび割れはないか
6.鉄筋が入っているか
(専門家に相談しましょう。)
塀の中に直径9㎜以上の鉄筋が、縦横ともに80㎝間隔以下で背筋されており、縦筋は壁頂部及び基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか。
基礎の根入れ深さは30㎝以上か(塀の高さが1.2m超えの場合)
ひとつでもチェックポイントから外れる物があれば、専門家に相談しましょう。
最近では補修工事などにかかる費用を一部補助している自治体も多くあります。もし所有するブロック塀が地震などで倒壊し、人や物に被害を出してしまったら、その責任は所有者に課せられてしまいます。
いざという時のためにも、危険なブロック塀を放置しないようにしましょう。
とはいえお隣さんとの境界の塀になっていたり、植栽など干渉するものがあり、それも撤去しなければならない場合がありますよね。補助金があるとしても、少なからず自己負担が発生することもあり、「既存の塀を活かすことはできますか?」というご質問は、実際によく寄せられます。
もし鉄筋や基礎がきちんと施工されていて、高さを下げたい場合、ブロックをカットすることは可能です。
カットの方法として、まずはブロックのピッチに合わせてサンダーで切り込みを入れます。
そして電動ピックなどを使って、一枚づつ外していく作業となります。
基準を満たしていないブロック塀は、残念ながら残すことができません。
どのように施工されたか分からない塀などは、一見頑丈そうに見えても、工事の途中で倒壊してしまうケースが多いのです。
控え壁も、同時施工でなければ強度を上げる効果がありませんので注意しましょう。
「すでに亀裂が入ったり、欠けたブロックにモルタルや塗料を塗りたい」というご依頼も寄せられます。
確かに見た目は良くなりますが、安全面でいうと補強にはなりません。
また、年数がたつと亀裂や割れ目が再び現れる可能性が高いため、あまりおすすめはできません。
通学路や人通りの多い道路に面しているなど、また高いブロック塀をするのはちょっと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
高さのあるブロック塀の施工には工期もかかりますし、作業スペースや基礎の大きさもそれなりに必要です。
そんな時の選択肢として、2つの工法があります。
①ブロックとフェンスの組み合わせ
最低限の土留めとしてブロックを施工し、その上にフェンスを乗せるという方法です。
様々な種類のフェンスがあり、圧迫感なく敷地を囲むことができます。ブロックで同じ高さを出すよりも、コストを抑えられる場合がほとんどです。
風通しの良いフェンスを選べば、台風での倒壊も防ぐことができます。
フェンスのカタログには「採風率」と言って、風が通過できる隙間の割合が載っています。彩風率は50%以上が風の影響を受けにくいと言われています。フェンスを選ぶ際にはチェックしてみましょう。
目隠しが必要なところだけ目隠しフェンスをして、その他は通風性の良いフェンスを設置するのがおすすめです。高低差がないのであれば、土留めブロックを設置せずに独立基礎でフェンスのみ設置することも可能です。
②乾式工法の塀にする
最近では超軽量素材による乾式工法の壁や塀が注目されています。
従来のブロック塀は、モルタルやコンクリートなどを現場で練って積み上げていくのに対し、乾式工法の塀は工場で生産されたパネルなどを設置する工法になります。
軽量なので、万が一倒壊した場合も被害を最小限に抑えることができます。また、職人によって仕上がりにバラつきが出づらく、工期も短縮することができます。
各メーカーから乾式工法のウォールが販売されています。住まいにピッタリなウォールを探してみましょう!
「我が家のブロック塀は安全かな?」と、ちょっと心配になった方は、まずはチェックポイントを満たしているか確認してみましょう。少しでも不安に思うことがあれば、専門の業者にお願いして、現地調査を依頼してみてくださいね。