2022/07/01 / 住まいの雑学 外構 お庭
浄化槽の位置や高さはどうやって決めたらいいの?
下水道が整備されていない場所に建物を建設する場合、お庭に必要なのが浄化槽。
都市部では下水道の整備が進んでいるため、必要ないケースもありますが、閑静な郊外に新築する場合、浄化槽が必要なことも。
新築をする時は建物のことで頭がいっぱい、外構は後回しになりがちです。ましてや浄化槽のことなんて考える余裕すらないという場合がほとんど。
いざ外構計画をするときに、浄化槽が不便な位置や高さになっていて、希望通りの外構にならないというお客様も多数見てきました。
今回は、そんな事態を避けるためにも、浄化槽の計画をする際のポイントをご紹介します。
地表から見える浄化槽はマンホールの蓋のような物が2〜3個並んだような形になり、この蓋の下には大きなタンクが埋まっています。
この中で、バクテリアによって汚水を分解し、河川や用水路に排水する仕組みになっています。
建物と浄化槽タンクを繋ぐ管が長くなればなるほど、タンクを深く埋めなければなりません。
また、建物からタンクに繋ぐ入り口の深さが決まっているため、それ以上の深さになる場合は中継ポンプが必要となり、費用がかさみます。
コスト面では、なるべく建物の近くに設置する計画がおすすめです。
ただし、汚水の分解システムになりますので、多少匂いが気になることも。
くつろぎスペースを作りたい場所や、食事をしたい場所などはできるだけ避けた方が良いでしょう。
そして一番問題になりやすいのが、地表に出る部分の仕上がり高さ。
写真のように高く設置してしまうと、駐車スペースとしての活用ができません。
浄化槽のまわりのコンクリートは、浄化槽業者が工事を行います。
コンクリートの高さは事前に業者さんと十分にご相談されることをおすすめします。
また、タンクの高さは決まっているため、後から高さを下げることも難しくなります。
逆に高さをあげたい場合も、かさ上げは30㎝までと決まっています。これを知らずにかさ上げしてしまうケースもありますが、法定検査に引っかかると、再施工になってしまいます。
タンクの大きさにもよりますが、軽自動車ほどのスペースが必要になることも。できるだけスペースを有効に活用したいですよね。浄化槽の上も駐車場にしたい場合は以下の点に注意しましょう。
蓋の周りに打設するコンクリートは、基本的に水平になります。
一方、駐車場は水溜まりができないように、道路側溝や雨水マスに向かって勾配をとります。
浄化槽まわりのコンクリートとの段差がつきすぎると、駐車しにくかったり、つまづく原因になってしまします。
浄化槽の蓋には、耐圧タイプとそうでない物があります。
耐圧タイプでないものに車で乗ると、蓋が割れてしまうこともあります。
また、写真のように周りのコンクリートと一体化したように駐車場を作りたい場合は早めの計画が大事です。
浄化槽の周りに打つコンクリートは、厚みや配筋などに規制があり、浄化槽業者と外構業者で連携をとる必要があります。
遅くとも浄化槽の工事の着工前には外構計画を決定し、スムーズに工事できる段取りを整えておきましょう。
早めの計画が大事ですが、あれよあれよという間に建物が着工。気づけば引渡し時期。
業者さんのメンテナンス重視なのか、独断で変な位置に浄化槽ができてしまった!というケースも。
撤去や高さの変更は難しいものの、外構プランで目立たなくできる可能性もあります。是非ご相談ください。
以下のケースは外構のリフォームを検討されている方も必見です!
玄関の前に浄化槽ができてしまったケース。
正面から見た時に、どうしても浄化槽に目が行ってしまいます。
諸々の理由で、もらっていた建築図面とは違う位置にしか設置できなかった、なんてこともありえます。
正面からは見えないように、手前に塀を立てています。
アプローチの導線をクランクさせることで、浄化槽の上を歩くことなく玄関まで向かうことができます。
上の施工写真にも浄化槽が隠れているのですが、みなさんお分かりでしょうか?
それでは大ヒント!浄化槽に近づいて見ましょう。もう見えてきましたか?
正解はこちら。
実は、おしゃれな鉢植えの裏に浄化槽が隠れています。
「浄化槽の周りはコンクリートだし、下はタンクが埋まっているから、植栽は無理かな?」と諦めなくても大丈夫です。大きめの鉢に木を植えて、景石と一緒におけば、全く浄化槽の存在を感じさせない素敵な空間に生まれ変わります。
お庭の中心に浄化槽がドーン!とできてしまったケース。
浄化槽は定期的に点検があるため、蓋はいつでも開けられるようにしなければいけません。上に構造物を作ることもNG。こんな場合はどうすればいいのでしょうか?
人工芝であれば、シートになっているので、必要な時にめくることができます。
切り込みを入れるか、浄化槽の上だけ別シートにすることで隠すことができます。
風でめくれてしまう場合は、ピンでとめるか、上に鉢などを置いておさえるといいですよ。
浄化槽は建物にとって大切な設備ですが、せっかくの新築であれば見た目にもこだわりたいですよね。
結構広いスペースを使うことになるので、できる限り着工前に計画しておくことが何よりですが、思わぬ位置に浄化槽が設置されてしまうことも。
「あれ?」と思ったら、早めにハウスメーカーや外構業者に相談するようにしましょう。