2022/05/25 / 住まいの雑学 樹木・植物・メンテナンス
ヨーロッパ ワイルドフラワーの世界
長かった冬が終わると、一斉に草花たちが芽吹き始めますね。日本でよくみられる野の花にもたくさんの種類がありますが、ヨーロッパでは少し変わった花が咲いているのを見かけます。
今回は春から初夏にかけて、道端にもたくさん咲いているヨーロッパ(ギリシャ)のワイルドフラワー5選をご紹介します。日本では園芸種として手に入る植物もありますので、ヨーロピアンガーデンを目指す方や、ナチュラルガーデンがお好きな方も、ぜひ覗いてみてくださいね。
ギリシャの春、ひときわ目を引くのが真っ赤なポピーです。日本でもお馴染みの花ですよね。野草として生えているポピーは背丈が低く、花や茎も繊細な印象です。
ポピーの花言葉に「慰め」「眠り」とありますが、これにはあるギリシャ神話が由来しているそう。
豊穣の女神デメテルは、最愛の娘を冥界の王ハデスに奪われ、悲しみに打ちひしがれていました。
デメテルの心を癒すため、眠りの神であるヒュプノスはポピーを贈りました。このポピーのおかげでデメテルはようやく眠ることができ、心と体を癒しました。
ポピーの実には、本当に睡眠作用や麻痺作用があるそうなので、こちらも花言葉の由来になっていそうです。
ハーブのカモミールも野草としてよくみられます。古代ギリシャ語の「khamoi(大地の)」「 melon(りんご)」が由来で、その名の通り、りんごのような甘い香りが特徴です。他にも花の名前はギリシャ語が由来になっていることが多いようです。地中海気候が栽培にも適しているようで、ハーブ、香辛料、お茶などが豊富に取れます。ちょっとした体の不調はハーブティーやハーブバスなどの力を借りて、昔ながらの方法で整える人も多いそうですよ。
別名「クロタネソウ」とも呼ばれています。ニゲラという名前はラテン語で「黒い」という意味で、真っ黒な種がその名の由来。淡いブルーの花がふわふわした葉の中に浮かぶように咲いていて、とても可憐です。このふわふわした葉になぞらえて、「ヴィーナスの髪」と呼ばれることもあるそうです。英名はLove in the mist(霧の中の恋人)というそうです。なんだか、どの名前もロマンチックですよね。
日本では野菜としてお馴染みの春菊ですが、ギリシャでは道端に雑草として生えています!
嗅いでみるとちゃんと春菊の匂いがしました。驚くことに春菊の原産地は地中海だとか。私はてっきり日本の野菜だとばかり思っていました。現地の人も私たちと同じように、茎と葉の部分を食べるそうです。この他にも、野生のアスパラガスやホルタ(青菜)など、ギリシャの人々は結構野草を食べます。日本の山菜のような感じなのでしょうね。
レースのような繊細な花を咲かせる、オルレアもよく群生していました。最近は日本でも園芸種を見かけることがありますね。風にそよぐ姿が清楚で美しい花です。一年草に分類されますが、こぼれ種で毎年咲いてくれるそうなので、バラなどの下草としても人気があります。
この他にも日本名がないような珍しい植物、逆に日本でもよく見かける菜の花やアザミなどもよく咲いていました。
ヨーロッパでは雑草として生えているワイルドフラワーですが、最近はミックスされた種も売られています。ただし、日本では外来種になりますので、日本の強い雑草の力に負けてしまうことも。植えっぱなしで毎年綺麗に咲いてくれる、というわけにはいかないようです。他の園芸種と同様、お手入れは必要になりますのでご注意くださいね。
日々忙しく過ごしていると、見過ごしがちな野の花。ときどき目を向けてみると、きれいな花が咲いているのに出会えますよ。最近では写真を撮るだけで、名前や原産国などの情報を教えてくれるアプリもありますので、調べてみると面白い発見があるかもしれませんね!